ドル建て中国株ETFの世界

ドル建て中国株ETFを買う理由とは

一時期は、アリババやテンセント、ファーウェイなどの中国ハイテク企業が世界を席巻するのでは?と盛り上がっていましたが、中国のネット系企業は国の方針にそぐわないと言う事で圧力が掛かり今は勢いがなくなりました。更に中国は不動産バブルが本格的に弾けて、中国を警戒する米国が半導体の供給を遮断するような分断化政策を行っています。戦争にでもならない限りやらないと思いますが、やろうと思えば米国にADRで上場している中国企業を上場廃止にする事も可能です。それらの現状を踏まえて、今現在は中国株投資はまったく旨味を感じません。買う理由も見つかりません。あえて逆張り投資する必要も感じません。

ですが国際情勢は何が起こるか分かりません、買うチャンスが来た時に備えて常に武器を磨いて揃えて行くのが投資家です。米国株投資家がポートフォリオの一部にドル建て中国株を加えるときの通常兵器と飛び道具をご紹介します。

レバレッジ無しの中国株ETF

ドル建ての香港と中国本土の指数やセクターに連動するETFです。どのETFも流動性はあるので売買で困る事はありません。

iShares MSCI China ETF (MCHI)

MCHI
MCHI

MSCI ChinaインデックスのETFです。香港に上場している中国株(H株、レッドチップ)と中国本土の中国B株で構成されてるETFです。ドル建て中国株ETFの中では一番規模の大きいETFです。

MCHIの構成比の上位10銘柄です。テンセントが14.04%と一番構成比率が高いですね。次に構成比が高いのは2番目のアリババです。その他BYDやスマホのシャオミも入ってます。銀行や保険屋もありますね。構成銘柄上位は主に香港に上場している企業が中心です。

MCHIのセクター別構成比は、一般消費財とコミュニケーションだけで50.42%、それに金融も入れると65.81%のディフェシブ中心のETFである事が分かります。ドル建て中国株ETFでは一番人気のあるETFなので中国株をドル建て米国株ポートフォリオに入れる時の1番の候補のETFになると思います。

iShares China Large-Cap ETF (FXI)

FXI
FXI

香港証券取引所で取引されている中国の大型および中型株式で構成される指数のETFです。出来高も大きくMCHIに並んで人気のあるドル建て中国株ETFです。MCHIとの違いは中国本土のB株が入っていない事です。

FXIの上位10銘柄の一覧です。ネット企業のテンセントやアリババやEV電気自動車のBYDなど中国を代表する日本でも有名な企業が入っていますね。

FXIのセクター構成比です。一般消費財と金融だけで構成比率が61.18%になるのでディフェンシブなETFです。大型株中心で更に組み込みセクターもディフェシブなセクターが中心なので中国ETFの中では安全なETFの部類に入ります。

Xtrackers Harvest CSI 300 China A-Shares ETF (ASHR)

ASHR

中国のインデックスCSI 300 China A-SharesのETFです。CSI300指数は、上海証券取引所および深セン証券取引所に上場されている全A株のうち時価総額および流動性の高い300銘柄で構成されてるETFです。米国のS&P500の中国版のような指数になります。但し、香港上場の中国株と違い海外から積極的に資金を集めようという企業ではなく中国国内のドメスティックな企業が中心の指数です。

ASHRの上位10銘柄の一覧です。1番上の1銘柄だけ6.25%と構成比が高いので調べて見るとKweichow Moutai Co Ltd(貴州茅台酒)は白酒「茅台酒」という中国では有名なお酒を製造している会社のようです。9番目にEV電気自動車で世界2番目のシェアを誇るBYDが入ってますね。BYDは香港市場にも上場してます。昔は中国A株は中国国内の中国人しか売買できなかった時期が有り、海外から投資してもらいたい企業はA株と香港にダブル上場する事が多かったです。その後は香港ではなく米国にADRで上場する企業が増えて香港に上場するグローバルな企業は減りました。ですが最近、中国と米国との関係が悪化してくると米国上場を避けてBYDのように香港に上場する中国のグローバル企業が出てきました。

KraneShares CSI China Internet ETF (KWEB)

KWEB

Hang Seng TECH Index(HSTECH)に連動したETFです。一部、米国のADR株も含まれているので完全なHSTECH指数のETFでは無いようです。中国版ナスダックのようなETFで中国のハイテクネット企業を中心に構成されています。

KWEBの上位構成銘柄10社です。どれも中国のネット企業やハイテク企業が占めてます。構成比が一番高い1番目のPDDホールディングスはECプラットフォームの会社でSNSと連携してゲーム感覚で商品を購入できるサービスを提供しています。この企業はADRでナスダックに上場してます。

レバレッジナスダックを買う方法、TQQQとTECLと投資信託の違いの記事はこちら

レバレッジ有りの中国株ETF

上昇相場で威力を発揮するブル物の中国株レバレッジETFです。ボラが大きいので使用する時は注意が必要です。下落相場から反転した時に上手く乗れると驚異的なパフォーマンスを叩き出す、中国株の飛び道具になります。これから紹介する3つのレバレッジETFはいづれも日本の証券会社で購入できます。

Direxion Daily FTSE China Bull 3X Shares (YINN)

YINN
YINN

香港のFTSE China 50インデックスに連動してるレバレッジ3倍ETFです。FTSE China 50インデックスは香港の物と中国本土の物が有り、このETFは香港のFTSE China 50インデックスに準じてるそうです。中国株レバレッジETFの中では出来高も多く一番人気のあるETFになります。

YINNの構成比上位10社になります。テンセント、アリババ、百度、BYDなど中国を代表する企業が組み込まれた構成になっています。

セクター別構成比は一般消費財と金融で62.26%のディフェシブなセクターの構成比が大きいETFです。ですが3倍のレバレッジETFなので、けしてディフェンシブな動きではなくレバレッジETFらしい変動(ボラ)の大きな動きをします。私も何度か買った事があります。

Direxion Daily CSI China Internet Bull 2X Shares (CWEB)

CWEB

Hang Seng TECH Index(HSTECH)に連動したレバレッジ2倍のETFです。上で紹介したKWEBの2倍の変動で大体動きます。テクニカル分析する時はレバは減価してる事が多いので、レバ無しのKWEBで行います。中国のネット企業に2倍で投資できるので一部の熱狂的なファンが居るレバレッジETFです。

Direxion Daily CSI 300 China A Share Bull 2X Shares (CHAU)

CHAU
CHAU

中国のインデックスCSI 300 China A-Sharesのレバレッジ2倍のETFです。上で紹介したASHRの2倍で動くETFと思って頂いて結構です。テクニカル分析はレバ無しのASHRで行うのが基本です。出来高が少ないので上の2つのレバレッジよりも入るロットに気を付ける必要があります。

ドル建て中国株ETFを購入する注意点

長期投資の分散で中国株を組み入れたい場合はレバ無しのETFがお勧めです。下落から反転する時や上昇相場ではレバレッジETFがお勧めです。ハイテク企業が中心のレバレッジ2倍のCWEBは人気がありますが非常に変動(ボラ)が大きいETFなので注意が必要です。中国は共産党の一党独裁の国です。トップの鶴の一声で政策が変わります。急な政策変更で株価が急落したり暴騰するので常に動向を気にする必要があります。

レバレッジ3倍のFNGUビッグテックマグニフィセントセブンの記事はこちら
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